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没後・生前のお悩みについて

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見え方の差

「これから先、我々に書くべきものは何が残されているのだろうか?」――歌曲の王と称されたシューベルトをしてそう言わせたのが、ベートーヴェンの『弦楽四重奏曲第14番』です。1826年に書かれたこの四重奏曲は、悲しげで、うつろで、しかし底知れぬ神秘的な力を持っています。

面白いのは、同じ楽譜であっても、奏者によってまったく異なって聴こえることです。演奏家の呼吸や表現が変われば、曲は寂しげにも、神々しくも、あるいは破滅的な輝きを放ちはじめることさえあります。まさに、プロの手によって別の作品になる音楽だと言えるでしょう。

プロがプロである理由の一つは、同じ対象を見ていても、素人には見えない違いが見えていることです。司法書士事務員の業務も、これとよく似ています。同じ相続登記であっても、事案の背景や関係者の構成によって、必要となる書類や手続の組み立ては微妙に、しかし決定的に異なります。そうした違いを見落とさず、適切な形に整えていくことが、私たちの仕事なのだと思います。

『弦楽四重奏曲第14番』が生まれた翌1827年、ベートーヴェンは56歳で亡くなりました。その翌年には、この曲に大きな衝撃を受けたシューベルトも31歳で世を去ります。19世紀の相続実務がどのようなものであったかを詳しく知ることはできませんが、彼らの死後の手続を担った誰かが、確かに存在したはずです。ベートーヴェンほどの人物であっても、最後は一つの「相続事件」になります。そう考えると、私たちが日々手掛ける手続きが、誰かにとって大切な区切りになることもあるのだと改めて思います。

防府オフィス 鍵谷